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2007年06月 アーカイブ

2007年06月13日

アスベストの代替品

ノンアスベスト製品


 アスベストの使用が禁止あるいは激減している欧米諸国を中心に、アスベスト代替品の開発が進められています。日本でも、すでに様々な代替品が販売されています。

 鉄骨の耐火被覆、ビルの断熱・防音用などの吹き付け材は、1975年以降、アスベストの使用が原則的に禁止され、ロックゥール(岩綿)が使用されるようになりました。

 現在、アスベストの9割以上は建材に使用されていますが、建材のノンアスベスト化も進められています。内装材では、1986年にアスベスト含有ピータイルの生産が中止され、その後はノンアスベストのピータイルが生産されています。

 外壁に使用されるサイディング材も、一時はアスベスト製品が多かったのですが、近頃はノンアスベスト製品が主流になっています。

 倉庫や工場などの屋根・外壁、鉄道のプラットホームの屋根などによく使用される波形スレートの代替品は、浅野スレートが販売しています。折板と呼ばれる金属性の波形屋根材もよく使用されています。

建材用の代替品


現在、アスベスト建材の中で最も生産量が多いのは、住宅屋根用化粧石綿スレートです。その代替品は積水化学工業、大建工業、クボタなどから販売されています。昔から使用されている粘土瓦、厚形スレート、セメント瓦、アスファルトシングルなどの住宅用屋根材も、ノンアスベスト製品となります。

 こういった建材用の代替品には、パルプ、ビニロンなどが使用されています。ビニロンは日本で開発された合成繊維ですが、海外でアスベスト代替繊維として注目され、日本でも代替繊維として使用されるようになりました。

 代替繊維は安全性が十分確認されないまま使用されているのが現状です。

アスベストの代替品(2)

繊維の発ガン性を判断


 アスベストなどの鉱物繊維を肺に吸い込むと、どうしてガンができるのか、判明していませんが、繊維に発ガン性があるかどうかを判断するときの基準が4つあります。

 第一に、その繊維が人の肺に吸い込まれるかどうかです。太い繊維は鼻、咽喉などの表面の粘液や気管、気管支の繊毛によって取り除かれます。

 セラミック繊維、フェスフェート繊維、チタン酸カリウム、けい酸カルシウム繊維は細いので、肺の奥まで吸い込まれてしまいます。

炭素繊維やアラミド繊維などの人造有機繊維は太いので、そのままでは吸い込まれませんが、縦に割れて細くなったものは吸い込まれるようです。

 第二に、肺の奥まで吸い込まれた繊維が分解されずに残るかどうかです。ロックゥール、ガラス繊維はアスベストに比べて分解されやすいことが判明しています。

エリオナイトは発ガン性有り


 第三に、分解されずに残った繊維が発ガン性を示すかどうかです。様々な繊維を動物の腹部に注射した結果、太さ0.25ミクロン以下、長さ8ミクロン以上の繊維は発ガン性が強く、2ミクロン以上の太い繊維は発ガン性が微弱であることが示されています。

 第四に、吸い込んだ人が実際にガンになったかどうかです。ロックゥールや普通のガラス繊維が使われ始めて100年にも満たない段階ですが、製造労働者の疫学調査の結果発ガン性は確認されていないようです。天然の鉱物繊維であるエリオナイトは動物実験でも、疫学調査でも、中皮腫を発生させることが知られています。

 このように、ロックゥールや普通のガラス繊維は、少なくともアスベストより発ガン性が低いと考えられますが、エリオナイトは発ガン性があります。労働省は1992年に、労働者がロックゥール、ガラス繊維を吸入しないように対策指導を行なっています。

国・自治体の方針

ノンアスベスト方針


 建設省は庁舎建設工事の際、ノンアスベスト製品を指定しており、アスベスト製品などは使用していないとしています。これは他の省庁も同じだと考えられます。

 自治体では、東京都が1989年の「アスベスト対策大綱」で、他に先駆けて都の建物などでアスベスト製品の不使用としました。

1995年1月から改正・施行された東京都公害防止条例では、民間に対しても「設計などにおいては、石綿含有材料の使用の削減及び石綿含有量の少ない建材の使用に努め、石綿含有材料の使用状況に関する事項を設計図書に記録し、解体するまで保存すること」などを求めています。

 震災後のビルの解体でアスベスト飛散が問題となった神戸市は、住民らの要望に沿って、1995年5月1日付の「震災に伴う家屋解体・撤去工事におけるアスベスト粉じん対策に係る基本方針」でノンアスベスト建材の普及促進を打ち出しています。

民間建築物では


 こうした自治体のノンアスベスト方針は、自らが建設する建物については実行できますが、民間建築物にはあまり効果をあげていないのが実状です。都内でも、神戸でも、新築される戸建住宅の屋根に化粧石綿スレートが目立っています。

 アスベストの危険性、アスベスト製品の実態、ノンアスベスト製品に関する情報などを住民に積極的に開示してこなかったからです。

 大手ゼネコンの内、一部はアスベスト製品を使わない方針を明らかにしています。これを他のゼネコン、住宅メーカーなどに広げていくことが求められます。

使用禁止にするには

関心の薄さ


 日本でアスベストがいまだに使用されている最も大きな原因は、行政、メーカー、建設業者、医師、市民など、日本の社会全体が、アスベストの危険性と使用の実態をよく知らないことにあります。

 欧米諸国と比べると、日本ではアスベスト被害の報告がまだ少ないことも市民の関心が薄い原因のひとつとなっているようです。

 ですが、本当はアスベストが原因で死亡した人でも、医師がアスベストのことを知らないために、アスベストが原因と気づかない場合もあります。肺炎と診断された人の肺を検査した結果、アスベスト肺と判明したケースもあります。

アスベスト建材の不使用


 こういったことを防ぐために、次のような方策が考えられます。

 社会の関心を喚起するためには、身近なところでいまだにアスベストが使用されている事実を知らせる必要があります。

 近頃の戸建て住宅は西洋風の外観のものが多くなり、薄い瓦が多く使われています。しかし、ほとんどの人が、あの薄い瓦の大部分にアスベストが使用されていることを知らないはずです。

 もし、家を新築または改築するとき、アスベスト建材を使用しないよう、建設業者に注文をつけましょう。都内の新築工事なら、ノンアスベスト製品を使うよう求めることができます。

 また、地方自治体の建物にアスベスト製品を使用しないように要望することで、アスベストに関する地方自治体の認識が深まります。アスベスト建材を使用しないことが、アスベストの使用を禁止する一番の近道なのです。

使用禁止にするには(2)

ビル解体のアスベスト対策


 身近なところでビル解体工事が予定されていたら、アスベスト製品を調査しているか、その結果を記録してあるか、解体作業者または所有者に聞いてみましょう。吹き付けアスベストのみならず、アスベスト建材なども調査する必要があります。

 アスベスト製品があれば、特定化学物質等作業主任者をおき、飛散防止対策を講じ、防じんマスクをして、除去する必要があります。

 これらの対策は労働者の健康を守るため、労働安全衛生法の特化則で決められていることなので、守らなければ労働安全衛生法違反となります。もし守られていなければ、労基署に連絡して、指導を求めることが可能です。

地震に備える


 阪神・淡路大震災では、日本のアスベスト対策がいかにおろそかにされてきたか、明らかになりました。日本列島全体が地震の活動期に入ったといわれており、全国各地で地震に備えたアスベスト対策を実施し、アスベストを除去することが求められます。

 民間ビルのアスベスト調査・除去には助成装置もいるでしょう。震災後にアスベストをボランティアで調査する「臨時アスベスト調査員」を養成しておくことや、地方自治体で防じんマスクを備蓄しておくのも効果的と思われます。

 こういった活動を通じて、市民や行政、建設業者やアスベスト製品メーカーなどにもアスベストに関する認識が高まることにより、アスベストの使用量を減らすことができるでしょう。

アスベストとは

便利だが危険


アスベストは石綿(いしわた、せきめん)とも呼ばれています。石綿という名前の通り、綿のように柔らかな繊維ですが、鉱物の一種で火にくべても燃えません。

アスベストの最もわかりやすいイメージとしては、アスベスト金網です。中学校や高校の理科の実験で、ビーカーに入れた水をアルコールランプで沸かすとき、四角い金網を使いました。あの金網の中の白い部分にアスベストが使用されていたのです。

 アスベストは非常に細い繊維です。一本の繊維の太さは、髪の毛の5000分の1くらいです。熱や薬品に強く、磨耗に耐えます。特に白石綿は、切れにくく紡いで織る事も可能で、なおかつ安いということで、こんな便利な繊維はないと重宝されていたのです。

 しかし、この便利なアスベストの繊維を肺に吸い込むと、20~50年後に癌になる恐れがあるのです。

複数のアスベスト


 アスベストは単一の鉱物ではなく、6種類のアスベストが知られています。最も多く使用されてきたのが、白石綿(クリソタイル)です。文字通り、白いアスベストで、とても柔らかく、顕微鏡で見るとカールしています。別名、蛇紋岩アスベストと呼ばれています。

 角閃石アスベストは、角閃石の中にできます。5種類ありますが、工業的に使用されてきたのは、青石綿(クロシドライト)と茶石綿(アモサイト)です。角閃石系のものは顕微鏡で見ると、直線状の繊維です。

蛇紋石系よりも角閃石系のほうが、発がん性は強いと言われています。

既にヨーロッパ8カ国では使用禁止となり、アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアなどでは使用量が激減しています。日本では青石綿と茶石綿の使用は禁止されましたが、白石綿はいまだに多く使われています。

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